正安寺【境内墓地】、杉大木の伐採等整備

境内墓地

 以前のお知らせ欄でも、ご説明させていただきましたが、寺院の維持管理には特殊で予想される以上に大きな視点や金員の管理が必要となります。
 一般的に寺院の印象を、江戸時代の姿と重ね合わせ、住職もまたその時代の僧侶と比較される場面も、未だ多くありますが、明治維新以降の神社仏閣は、一部の都心部寺院は別として、総じて土地や山林、その他多くを余剰財産として政府に没収、戦中には大梵鐘他鉄器や材木の供出や廃仏毀釈による什物の消失、戦後には農地改革の方針にて田畑を消失、また維持運営に関しては、国の管理下から外れ、宗教法人と言いながらも自営業主として、自らの能力や采配で維持していくこととなりました。
 故に、明治維新以降の寺院住職は所謂突然、国家公務員から自営業種に転職された程の違いがあり、それまで金員の管理や維持運営のノウハウ等、必要の無かった才を学び、身につける必要に迫られたのが実情です。而来、各寺院住職はその規模に沿った収支予算や決算を作成し、毎年の維持修理箇所や収入及び支出の予想を立てながら、節約と修繕の交互を繰り返している状況です。
 物事を比較検討する際には、同じ尺度の測りを使用することは勿論ですが、双方のスケールや大きさが別の場合には、まず大凡同じスケールに揃えてから比較し、無駄や効率を検討することが理性的な判断と言えましょう。
 ですから、正安寺住職が以上の内容について、お話しする場合には、
「常日頃から、菩提寺の維持運営にご関心や心配をいただく方々もあり、大変有り難いのですが、一つお願い致したいことは、皆様方それぞれのご家庭やお家と比較するのではなく、皆様方がお勤めしている会社と比較される方がより、規模的には適切であると思われます。」
 と、お話しさせていただいております。大凡、ご自身の家庭の管理状況をそのままに、菩提寺の管理費支出と比べられる方が未だ多いことも事実だからです。
 今回の墓所整備の為、杉大木の伐採の支出は凡そ250万円、寺院の面積で割り当てられた消防施設(消火栓3口)設置には600万円、本年の1月のみの電気料金が40万円、受処玄関の上がり框と手摺りの設置で120万円と、一般住宅では凡そ必要の無い高額の支出が毎年のようにあります。
 特段に自慢したいわけでも、慰めていただきたい訳ではなく、あくまで一寺院の事実実際を知っていただき、それらを様々な方法を用いながら、開示しているような寺院もあることを知り、参考にしていただけたならば、有り難く存じます。
大型クレーン車到着。
伐採後の日当たりの様子。
搬出の為、長さを揃える。