講座(4)『修証義』の教え⑲

仏の教え

前号第2章「懴悔滅罪」のつづき

【本文解説】
 前号の〇節文は残文の解説となります。
 このように他人ではなく、自己を顧みる日頃の生活習慣から、今自分が出来ること、出来ないこと、知らなければならないこと、行わねばならないことなど、自ずから見えてくるのです。
 とかく人間は、自らが出来ぬことを誰かに頼り期待しながら、その結果が思うように進まなくなると、責任を転嫁し、自らの非を逃れようとすることもあるようですが、仏道を歩む信仰者は、常に己の心の甘さや未熟さと、向き合うべく智慧と勇気を、身につける努力を惜しまぬものです。
 そうして自身の人間性を高めながら、執着や迷いを離れて、己が心の中そのものに、仏の心を見出していくのです。
 更にその先には、己のみならず、生きとし生けるものまた、仏の教えを信仰する者たちと共に手を携えて、互いが思いやり、励ましあって、仏道を一歩一歩歩むべき、強い信念と心構えを持つことを勧め、自らも率先して培っていくのです。
【花篭図】江戸時代前期 この画は当山十六世、大梅禅師とも関係が深く、作者は当時、将軍家側用人を務めた柳沢吉保の側近、荻生徂徠や細井広沢等に儒学や書を学び、後に池大雅等を見出した柳澤其園である。ちなみに細井広沢は大梅禅師の処世として弟子の一人でもあった。