正安寺の什物④【掛軸 秋月等観 雨中楼閣山水図】室町時代

正安寺什物

 秋月は字,等観は諱(いみな)。詳しい生没年は不詳にして、室町後期の禅僧でもある著名な水墨画家。
 元来は島津家の臣、高城氏であったとも伝えられる。山口の雲谷庵にて雪舟に学び,1490(延徳2)年冬には、師雪舟から71歳の自画像(模本が大阪の藤田美術館に収蔵)を付与されたとして、その名を広めている。
 1492(明応1)年に薩摩へ帰った後、同5年に遣明使に随行して明に入り96年在明中に『西湖図』(石川県美術館)を制作、帰国後70余歳で没したといわれている。
 その功績は、雪舟様式を最もよく受け継いだ高弟の一人としては勿論、その技術を踏襲しながらも時代の変遷に先駆けて力強い筆力の画風から、やや流麗と装飾化した雅さに重心が移りゆく,室町漢画から桃山障屏画への橋渡し的役割を果たしたことといえよう。