講座(2) 葬儀式の内容「本葬儀④」

仏の教え

②棺前念誦は、「授戒」に引き続き読経される「舎利礼文」(しゃりらいもん)の後、お唱えされる文言で、内容はおおよそ下記の通りです。

 「つらつら思うに、天地の盛夏過ぎて寒冬訪れる四時の運行の如くに、また人間の生死は互いに遷移して、今まさに今生の区切りを迎えました。
 今生(こんじょう)は一瞬のきらめきにも似て、稲妻が如き存在感と儚さ(はかなさ)が同居する場でもありますが、ひとたび風雨おさまれば、波静かにして大海の平穏なる寂滅の境涯に至るのです。
 ここに仏の戒律を「受戒」され、また何物にも替え難き生命の因縁も、ついには解消される真理を身を以て示されるる故人のために、赴かれる仏界がよりうるわしく清浄たらんことを願い、縁(えにし)深き参列者のご焼香と、僧侶の唱えられる諸々仏名をもってご廻向いたしましょう。」