講座(2) 葬儀式の内容「本葬儀⑥」

仏の教え

④「引導法語」
 さて墓所に赴いてそれぞれの仕度を整えましたら、いよいよ「引導法語」(いんどうほうご)の作法となります。
 一般的には「引導を渡す」なる文言にて広く知られているようですが、その本義は、亡き故人を迷い無く仏の世界に導くため、それぞれの菩提寺(ぼだいじ)の和尚様方が、故人の生前の考えやご生活、またその姿勢などを考慮して、もっとも故人に適していると思われる仏の教えは究竟(くっきょう)のことろを、詩偈の作法等を用いながらお唱えし、途中「喝」(かーつ)、または「露」(ろー)、「咦」(いー)等と一区切りを用いて、法語の内容の理解と、故人の現状を再確認いただき、今生(こんじょう)の未練等に区切りをつけて、仏の世界へ直向きに歩み進んでいただくためのものです。
 「活を入れる」なる文言も、恐らく原典としては仏語の「喝をいれる」から転じたもので、喝によって、それまでの己に区切りと整理をつけて、新しい境地、境涯に活きてゆく覚悟を決していただくための内容といえるでしょう。
 ですから、この「引導法語」と、御戒名を安名させていただく「授戒」は、故人それぞれに対して全く同じものは一つとして無く、各ご住職様方の最も気を遣い、また力量の表せられるところでもあります。