講座(4)『修証義』の教え㉛

仏の教え

 〇受戒するが如きは三世の諸仏の所証なる阿耨多羅三藐三菩提金剛不壊(あのくたらさんみゃくさんぼだいこんごうふえ)の仏果を証するなり、誰の智人か欣求(ごんぐ)せざらん、世尊明らかに一切衆生の為に示しまします、衆生仏戒を受くれば即ち諸仏の位に入る、位大覚(だいがく)に同うし已(おわ)る、真に是れ諸仏の子(みこ)ならんと。

【用語解説】
 三世(さんぜ)=過去・現在・未来のこと。
 阿耨多羅三藐三菩提(あのくたらさんみゃくさんぼだい)=梵語でいう事象を見極めた境涯の音写語。
 金剛不壊(こんごうふえ)=何物にも壊されない堅い物質(ダイヤモンド等)

【本文解説】
 先に「十六条戒」こそが、歴代の祖師や仏様方が皆等しく守り勤め、伝えてきた大事であることを述べてきたので、これよりは更にその正当性を示し、念を押す形で述べられます。
 これらの戒めを授かり、自らが率先して守り勤める事は、過去、現在だけでなく遠く未来にわたって多くの仏様方が実際に守り勤めた結果として、決して他によって傷つけられることもない、無上の心の拠り所を修められてきた事実が証明しており、たとえ僅かでも道理や分別をわきまえた者であるならば、学び知って仏の境涯に接したいと思わずにはいられないはずである。
 お釈迦様が説かれ、授けられたこれらの戒めは、分け隔てること無く、生きとし生ける者達全てのために示されたのであり、己が未だ学ばずが故に知らずといえども、目前に大事があることを知った今、ただ直向きに歴代の祖師方を信じて守り勤めると誓願するならば、それは歴代の仏様方と同じ入口に立つことであり、同時に歴代の仏様方の諦(あきら)かにしたものを証することにも通ずるのである。  つづく 
正安寺の桜も徐々に開花。