講座(3)『摩訶般若波羅密多心経』の教え⑫

仏の教え

〇故知般若波羅蜜多。是大神呪。是大明呪。是無上呪。是無等等呪。(故に知るべし、般若波羅蜜多は。是れ大神呪なり。是れ大明呪なり。是れ無上呪なり。是れ無等等呪なり。)

 【本文解説】
 ここからは、先述してきたことを踏まえて、『般若心経』に説かれる内容の尊さを自覚し、良く保ち、実践してゆくことを勧めると同時に、古来、内容に重みがあれば、その文言自体も貴重となり、一定の効果が加わると考えられ、言霊(ことだま)などと表現されてきたように、『般若心経』の文言も、たとえ一朝一夕には本当の理解に至れなくとも、その文言の一部、あるいは全体をお唱えすることだけでも、大層な修行となり、効果となることを示されます。
 よって要約すれば、「般若波羅蜜多」、般若の智慧の理解と到彼岸の実践を学び、またお唱えとして大事とするのは、「大神呪」(だいじんしゅ)、我々衆生を正しく導く大いなる力を保持するお唱えであり、「大明呪」(だいみょうしゅ)、無明煩悩の闇、すなわち心の乱れを払ってくれるお唱えであり、「無上呪」(むじょうしゅ)・「無等等呪」(むとうどうしゅ)、この上もなく、他と比することが出来ない尊いお唱えとなるからである、というほどの意味でしょう。
             
境内の草花。